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近松門左衛門ゆかりの唐津市・近松寺で、この3月3日に唐津人形浄瑠璃保存会の公演がありました。寺の本堂では多少手狭ではありますが、近松門左衛門にゆかりのこの場所で公演をおこなうことに意味がありますので、観客も詰め詰めでも文句は言いません。本堂の御内陣に向かって左側に人形の舞台がしつらえられています。
これは始まる前の写真で、お弓とお鶴の人形が展示してありました。 |
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今日は、竹本鳴子大夫主宰の義太夫の会です。私も御招待頂いたので、駆けつけました。 |
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鳴子大夫は九州ではただ一人の浄瑠璃の指導者であり、県内はもとより、福岡県、長崎県、大分県、熊本県までも教えに行かれる熱心な先生です。
御本尊の前で、まず手を合わせてから、ご挨拶がありました。 |
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唐津市立入野小学校の校長先生は、美しい着物姿で、生徒たちが浄瑠璃を演じることのよろこびを語られました。
明るくなり、意思が強くなり、自信を持つようになり、・・・
いいことばかりですね。学校の取り組みとしてはユニークで素晴らしいものだと思います。 |
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「傾城阿波鳴門」を演じるのは、入野小学校の3年生全員(19名)。語る大夫たちも、人形遣い子たちも全部小学生。黒衣には、保存会の大人たちが出て手伝います。三味線はさすがにプロの鶴澤鳴庄さん。
人形の主遣いの男の子は、舞台下駄まで履いて、本格的でした。ひっくり返るんではないかとハラハラしながら見ましたが、堂々たるものでした。
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お鶴とお弓の動きも、ほんとうに上手で、前で語る10人の息もぴったり。 |
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いよいよお弓がお鶴をわが子と知り、クライマックスへ。 |
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母ともしらず泣き崩れるお鶴をお弓が抱くシーンは、いつ見ても悲しいものですね。 |
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4年生の13人は、去年浄瑠璃は経験済みなので、今年は落語の「じゅげむ」です。
声をそろえて、お腹から発声。義太夫っぽく、途中で三味線が入る珍しい「じゅげむ」です。 |
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近松寺の山号を東郷平八郎閣下が揮毫してありますが、子供達がその下で並んで「じゅげむじゅげむ」を演じるのを閣下はどんなお顔で聴かれたでしょうか。 |
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最高齢のお弟子さんは、もと小学校の先生の大野先生です。 |
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三味線合奏には歌も入って、子供たちの澄んだ声が「さくらさくら」を歌います。 |
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将来、娘義太夫としての有望株? |
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最年少の三味線弾きさんはこのお嬢さん。 |
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視覚障害者の鍋島さんも、毎年鳴り物としてドラムで参加。 |
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大分県の国見歌舞伎保存会の皆さんは、「白波五人男」を演じて、やんやの喝さい。 |
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中に一人、唐津の劇団女優・面谷郁子さんの姿が。 |
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最後の出し物は人形浄瑠璃「壺坂霊験記、山の段」
鶴澤友理江さんの三味線はさすが淡路島の人間国宝の内弟子だっただけにお腹に響くような迫力。
鳴子大夫の絞り出すお里の悲鳴も、聴く人の心を打つ。 |
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女房の邪魔にならぬようにと崖から身を投げた夫、盲目の沢市の後をおい、自分も身を投げようとするお里。 |
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二人の夫婦愛をあわれと思った観音様は二人を助け、沢市の眼を開かせる。
喜びに小躍りする沢市。
これで公演は終了。余韻に浸りながら本堂をでて、折角来たので久しぶりに近松寺の境内を散策。
有名な牡丹はまだ芽がかたい。 |
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この近松寺は近松門左衛門が幼少の頃を過ごしたという語り伝えがあります。裏には石碑があって、近松の墓域が。 |
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近松門左衛門の墓。遺髪塚ともいいます。
ここに手を合わせて、そのあと、曽呂利新左衛門の築庭した茶庭を拝観。
ゆっくりした時を過ごして帰りました。
耳には、まだベンベンベンと太棹の音が残っていました。 |
鳴子大夫につきましては、過去にこのページに2回書いています。どうぞ合わせてお読みください。
#45 義太夫 竹本鳴子
#136 竹本鳴子 「唐津人形浄瑠璃保存会」発足
どうぞ、渾身の努力を続ける鳴子大夫に暖かい声援を送ってください。
有難うございました。また来月お会いしましょう。
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