#223 平成30年10月


煎茶道のお道具
このページは女将が毎月更新して
唐津のお土産話やとりとめもない
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茶の薫り
小笠原流煎茶道
 唐津藩は江戸時代、譜代大名でした。最後の小笠原藩は激動の明治維新をむかえます。その時幕府の老中に上がっていた小笠原長行(ながみち)は維新後は政治の表舞台からは身を引きましたが、その子長生(ながなり)は子爵となり、海軍中将となった人です。東郷元帥に近く仕えたことは良く知られていますし、日清戦争史の編纂や軍事的な著書がたくさんあります。東宮学問所でも当時の皇太子殿下に侍史されました。
とても文化的な方でありました。時代が変わったために「藩主」にはなられませんでしたが、唐津の人々からは「とのさま」として慕われ続けました。長生公は明治維新後の混乱した世の中を憂えて、煎茶道を普及して人心を和らげることを望まれ、100年以上前に小笠原流煎茶道が始まりました。
今回は、そのお話をぜひ唐津の市民に知っていただきたく、北九州市小倉の梅根秀悦様へ原稿を依頼致しました。
梅根様は、公益財団法人 小笠原流煎茶道、九州総支部の事務局をなさって、毎日多忙をきわめておられますが、快く筆を取ってくださいました。

 ではどうぞごゆっくりお茶の薫りを楽しんでください。




唐津と小笠原流煎茶道           小笠原流煎茶道九州総支部 梅根秀悦     


 唐津城当主七代目 小笠原長生候の要請により小笠原流煎茶道創始

 

 
 小笠原子爵

 小笠原礼法といえば武家礼法の宗として重んじられ、明治以後も学校の作法教育、家庭のしつけ

に小笠原の礼法が用いられていました。大正時代の初期唐津藩七代当主小笠原長生氏が、社会の乱れを憂い煎茶道を通じて、精神革命を図るよう初代祐道氏に委嘱され、伝統の礼儀作法を生かし創始されました。現宗家五代家元小笠原秀道氏は小笠原流煎茶道を平成24年に公益財団法人とし、国内は勿論ヨーロッパ、アメリカ、中国と世界に小笠原流煎茶道のもてなしの心を通して日本文化を伝えています。

小笠原流煎茶道の基本理念は「和敬静閑」。「和を悟り、尊敬と信頼を深め、常に公平で、誠意に満ちた清い心と、肉体的、精神的にゆとりを持つこと」という、“道”としての教えを持ちます。

先人から受け継いだ“道”を後世へつなぎ、これからも煎茶道文化の伝承に努めています。

 

平成30年9月16日

 公益財団法人 小笠原流第一回唐津茶会開かれる

 

 
 献茶式が行われた近松寺法皇殿

唐津城当主七代目小笠原長生候の菩提寺 瑞鳳山 近松寺にて公益財団法人 小笠原流煎茶道

五代家元 小笠原秀道、若宗匠 小笠原秀邦、小笠原貴充、小笠原輝充、の親子3代で献茶式を行い、小笠原長生候と小笠原家へお茶を供えました。

式には地元の方、九州各地、関西、山陰などから大勢の方が参加され、厳かな雰囲気のなか献茶式が行われました。

 
 開花堂の干菓子

参加者には、梅香煎茶と開花堂の唐津の貝殻の形のお干菓子がふるまわれた後、茶席へ案内されて地元中川茶園の芳醇な香りの玉露と開花堂の名月の名の生菓子を味わい、皆さん大喜びで、その後唐津市内を楽しまれ帰られました。

 


 
 開花堂 生菓子 「名月」



地元の声

唐津からこんな凄い文化が始まっていたとは知らなかった、もっと唐津の人に知ってほしいので、こんな会をもっと作ってほしいとの声でした。







フォトギャラリー
 
   近松寺の牡丹は400年の歴史を持ちます。今は季節でないので、裸の枝ですが、5月には見事な開花を見せます。ぜひ一度ご覧ください。
   本堂内部です。
   副家元による献茶式の準備。
   家元による献茶のお手前。
   家元のお孫さま二人によってお菓子が御仏前にささげられた。
    菓子は僧侶に受け取られ、住職に取り次がれる。長生公の位牌が御尊前に安置されていた。
「鉄櫻院殿無畏長生日來大居士」
   献茶式の後は、別棟で梅香煎茶と干菓子がふるまわれた。
   本席の床のしつらい。
「素」のお軸が100年前の流派創立の初心に帰るという意味でかけられたそうだ。
   お手前は文思棚を用いて。お道具には佐賀県のものを多く使われていた。
   まず、お香を一本立ててからはじまる。
   一煎目が配られる。まだお菓子(生菓子)は食べない。
   二煎目が注がれる前に、お菓子をいただく。
   お手前が終わった後にお道具を拝見する14代李参平氏。



 洋々閣会長と女将は、ご招待を受けて、 お茶の香りに包まれて心清められ、高められ、至福のひとときを過ごしました。小笠原流煎茶道が、長生公のひざ元である唐津にないのは不思議なことです。できたら、始めていただきたいものです。
小笠原流の皆様に感謝。


ではまた、来月唐津くんちにお会いしましょう。
今月もこのページを訪れてくださってありがとうございました。またお会いしましょう。
                              洋々閣 女将 大河内はるみ
   
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