#201
平成28年12月
Merry Christmas!


伊藤ゴローさん@洋々閣 2014年
このページは女将が毎月更新して
唐津のお土産話やとりとめもない
おしゃべりをさせていただくページです。
他の方の参加も歓迎です。
バックナンバーもごらんください。



 GOROへのオマージュ


 12月の声を聞くと、「あ、クリスマスだ。ゴローさんが来る!」と思います。私のクリスマスには、もうサンタさんは来ないけど、代わりに優しい笑顔のギタリスト・伊藤ゴローさんが来て下さるのです。
 昨年のクリスマスが、ゴローさんの10回目のコンサートでした。そこで世にも珍しいことが起こったんですよ。10回を記念して花束贈呈があったんです。
 「花束贈呈がナンデ、めずらしいのよ~。そんなのよくあるじゃないの!」というかたは、想像力が少々不足です。めずらしいのなんのって。 
 フツウの花束贈呈は、主催者やファンから演奏者に贈られるものでしょう? ところが昨年の花束は、ゴローさんから、このワタクシに贈られたのですよ。「10年間ありがとう」って。
「ありゃま、こりゃま」とあわてた食堂のオバサンは、エプロンで汗を拭いたりしたのでした。
毎年、私の思いつきのヘンテコリンなお食事を我慢して食べてくださるお客様たちからも拍手をいっぱいいただきました。
 次の十年、というと、私は・・・・・もういないかも。だからここでゴローさんへのオマージュを書いておきたい、というわけで、このコンサートの主催者の『唐津はこのまんまde委員会!?』代表のいけださとしさんから原稿をいただきました。
 楽しんでください。





 繊細な指の動き、そこからうまれる美しい音色。




「紹介したいボサノヴァデュオがいるんですけど、」
はじまりは知人からの一本の電話でした。


その頃の僕は、唐津はこのまんまde委員会!?という、僕自身は全くもって無知な音楽というものを通じて、唐津の魅力的な「人」「空間」「自然」を、ゲストと唐津に住むみんなでつなぐ会を立ち上げたばかり。御縁は瞬く間に広がり、次々に新しい音楽家からオファーが届いたり、「ここでもやってほしい!」「こんなところもあるよ!」と会場となるお店や場所をご紹介頂いたりして、今では考えられませんが2ヶ月に一度のペースでイベントを開催。そんな中、それまでに洋々閣様でもアコーディオンとコントラバスのインストゥルメンタルデュオmama!milkの演奏会、うたとコントラバスのデュオふちがみとふなとの演奏会&映画の上映会という2度の機会を頂きました。


さっそく知人から届いたCDを耳にした僕は、三たび「洋々閣の老松を背景にこの曲が聴きたい!みなさんに聴かせたい!」とそのCDを片手に女将さんの元へ。年末は旅館にとって繁忙期にも関わらず、きっと僕らの活動を応援してくださるお気持ちで快諾を頂いたのです。


それから10年。


毎年、伊藤ゴローさんを洋々閣へとお招きする音楽の旅は、コアなゴローファンの間で’冬のゴロー祭り’(フェスティバルでなく「祭り」というのがミソ)と称され、多彩なゲストとともに今年で11年目を迎えます。






さて。1年目から振り返ってみますと、






#1 naomi & goro (2006)
実は1年目は11月だったりするのですが、ゴローさんとはじめてお会いしたのはこの年。つまり、ボサノヴァという音楽をはじめて生で耳にした年でもあります。リハーサルからnaomiさんの美しい歌声と、ボサノヴァ独特の刻むように奏でるゴローさんのギターにうっとり。したのも束の間、ゴソゴソと準備をされている女将さんのそばに行くと、羽をたくさんつけてお尻フリフリのお姉さまたちが貼り付けられたカ、カ、カーニバル食堂!の看板。
そう、ボサノヴァといえばブラジル、ブラジルといえばリオのカーニバル!という名の食堂では、ご来場のみなさまに女将謹製ファジョアーダ(ブラジルの代表的な料理の一つで、黒豆と肉の煮込み。)が振る舞われたのです。あまりにも衝撃的な食堂名と看板は今でも語り継がれ、以来ゴローさんの音楽のみならず、女将謹製の軽食も冬のゴロー祭りの楽しみのひとつとなっています。
 
naomiさん            goroさん
リハーサル風景




#2 原田知世 「music & me」リリースツアー (2007)
2年目は予想外の展開となりました。前年にリリースされたアルバム「P.S.I Forgot」の帯に原田知世さんがコメントを寄せられていて、naomi & goroとどんな御縁なのかなぁと思っていたのですが、なんとなんとゴローさんは、この年に知世さんのデビュー25周年を記念してリリースされたアルバム「music & me」のプロデューサーだったのです。ということで、2年目はプロデューサー兼ギタリストとしてのゴローさん、ピアニストには中島ノブユキさん(唐津に御縁があってこれまたビックリ!)、主演は原田知世さん。
そして、この年はCAFE JULKLAPP(スウェーデン語でクリスマスプレゼント)にてクリスマスカラーのリボンに包まれた軽食。のみならず、知世さんが歌っていらっしゃる途中に背景となっている庭園の松を照らす灯が突然消え、女将さんの合図とともに芝生に並べられた蝋燭たちはご覧の通り。お客様の方を向いていらした知世さんは、湧き上がる歓声に一瞬戸惑われたのですが、振り返ってビックリ。窓越しに女将さんがしてやったりのニンマリ。出演者をも楽しませてしまう女将さんに乾杯。

原田知世さん
 
キャンドルサービス




#3 naomi & goro (2008)
3年目は、naomi & goroが再来。すでに演奏、作曲、プロデュースなど音楽家として多忙を極めていたゴローさんはもう唐津にこれないんじゃないかと心配していたのですが、「この時期にやって来る唐津(九州)はホッとするんだよね」というリップサービスを鵜呑みにして2人を迎えました。久しぶりに耳にするnaomiさんの天使のような歌声に、スタッフ撃沈。
そしてこの年はCAFE de NOELにてクリスマスプレート。
 
これもリハーサル時




#4 高野寛 & 伊藤ゴロー (2009)
4年目は、僕ら世代ならMIZUNOスキーウェア「虹の都へ」「ベステン ダンク」、サッポロビール「Winter’s Tale?冬物語?」のCMなどで耳覚えのある高野寛さんがゲスト。この年の10月にリリースしたニューアルバム「Rainbow Magic」とともに。すべからく女将さんが黙っているわけがありません。会場内に掲げられたボードは、左半分が虹色、右半分にはアルバムの中から「Black&white」の切り裂くイメージで。重ねて女将謹製のお食事は、レインボー食堂。もちろん虹色に輝く7種類の料理が盛り付けられていたのは申し上げるまでもありません。かね。
この年もっとも印象的だったのは、打ち上げで行った居酒屋にて自曲をカラオケで熱唱された高野さんとコーヒーフロートを注文したゴローさん。
 
高野寛さん      ゴローさん




#5 コトリンゴ & ゴロー (2010)
5年目は、前年に来てくださった高野寛さんのアルバム「Rainbow Magic」に参加していたのが御縁のきっかけだったのか、ピアニストのコトリンゴさんが初登場。この年にリリースしたアルバム「picnic album1」では、邦楽ポップスの名曲たちが魅力的なピアノと魅惑の歌唱力でコトリンゴな世界に大変身していました。ゴローさんも4年ぶりにリリースしたソロアルバム「cloud happiness」でご自身のルーツを表現して。
ということで、女将謹製のお食事はHappiness食堂にて『Picnic Plate』。デザートはメレンゲ・クラウドで面食らうど。
 
コトリンゴさん     ゴローさん




#6 naomi & goro (2011)
6年目は、三たびnaomi & goro。2008年にリリースした「Bossa Nova Songbook 1」に続き、2009年にはブラジルのリオデジャネイロでレコーディングした「Bossa Nova Songbook 2」と「passagem」をリリースし、さらに活躍の場を韓国にまで広げた2人。更にこの年(2011)、naomi & goro & 菊池成孔名義でアルバム「calendula」をリリース。おかげさまで唐津でもnaomi & goroファンが着実に増え、早々に前売は完売。当日券のお客様を含めて過去最多のご来場となりました。
この年の女将謹製はCalendula食堂にて、〆は「カレンジュラ・シャ(キンセンカ茶)」。なるほど、
 
向かって右のフロアスタンドの右側の花は、やっとさがして取り寄せた季節はずれのカレンジュラです。)




#7 伊藤ゴロー & 原田知世 (2012)
7年目は、4月に2年ぶりの、しかもキャリアの集成と銘打ったソロアルバム「GLASHAUS」をリリースしたゴローさんを「是非ともソロでお招きしよう!」という気運が高まっていたところへ5年ぶりのスペシャルゲスト登場!前年にはじまったゴローさんと知世さんとの歌と朗読の会「on-doc.(オンドク)」の唐津公演が7月に開催されたのですが、その時すでに口約束でもあったのか…。2009年にゴローさんのプロデュースでリリースされた知世さんのアルバム「eyja」の中から数曲、もちろん「GLASHAUS」の中から数曲ずつ。期待を裏切らない女将さんから、背景にGOROとTOMOYOの文字が浮かびました。が、えっと、、食堂は何でしたっけ?打ち上げは、意外にも初の洋々閣名物のしゃぶしゃぶ。
 
庭の電飾は、雨でショートして半分消えました。




#8 高野寛 & 伊藤ゴロー (2013)
8年目は、3月にnaomi & goro10作目となるアルバム「CAFE BLUE SOLID BOND」、6月にボサノヴァ永遠の名作のトリビュートアルバム「ゲッツ/ジルベルト+50」、7月に久保田利伸さんの「Parallel World Ⅱ KUBOSSA」に参加、12月に3作目となるソロアルバム「POSTLUDIUM」をリリースと年を追うごとに多忙を極めに極めるゴローさんを「今年こそソロで!」という念願をよそに、またしてもスペシャルゲストが4年ぶり2度目の登場!デビュー25周年を迎えた高野寛さん。4年前は高野さん色につくられたボードでしたが、今回はソロアルバム「POSTLUDIUM」の9曲目「daisy chain」でゴローさん色に。たしか、12月23日の唐津公演が決まった後に、21日の細野晴臣×坂本龍一 EX THEATERへのゲスト出演が決まったゴローさんは、福岡公演と唐津公演との間に急遽東京へとんぼ返りをすることに。
この年の女将謹製は、これまた奥の深いプラテーロ食堂。

DaisyChainの曲名をヒントに作った女将手製の看板。)




#9 伊藤ゴロー (2014)
9年目にして、ようやく実現したゴローさんのソロ(といってもオープニングとアンコールの共演でzerokichiさんがウクレレを演奏)。5月に知世さんがゴローさんのプロデュースで3枚目のアルバム「noon moon」をリリース、11月にはフジテレビの番組「ヨルタモリ」の「音楽世界紀行」のコーナーでアントニオ・カズヨシ・ジョビンと共演(たしか、ジョアン・ゴロベルトとして)、11月には伊藤ゴロー+ジャキス・モレレンバウム「RENDEZ-VOUS IN TOKYO」をリリース。はじめてステージで一人ぼっちになるゴローさんが曲間に何を喋るのかが気になりましたが、ひとたびギターを愛ではじめると、美しい音色に酔いしれるばかりでした。いつもはスタッフとしてじっくり拝聴する余裕がないのですが、この時ばかりは、大好きなGLAUHAUSだけはすべてを忘れて聴き入ってしまいました。
この年の女将謹製看板はRENDEZ-VOUS、お食事もランデブー食堂。あぁ、満足。
 
この看板は「RENDEZ-VOUS IN TOKYO」のアルバムのジャケットのコピー作品。1m X 1m)



 
#10 清水ひろたか & 伊藤ゴロー (2015)
10年目は、黄金のギタリストの異名を誇る’shimmy'さんこと清水ひろたかさんをゲストに迎え、異なる音色のギタリストが共演。何がすごかったかって、shimmyさんの機材の豊富さとセッティングの細かさ。それは音楽に無知な僕でもわかるほど。でもそのおかげで洋々閣のホールがこれまでとは違う空間に生まれ変わり、2人のスペシャルなギターの音色が10年目の聖なる夜に響き渡りました。
この年の女将謹製看板は2人のギター、お食事は10周年記念のtenten食堂。終演後には、黄金のオモテナシストの異名を誇る女将さんとゴローさんがはじめてのツーショット!
 




2年目を終えた時点で「10年は続けたいですね」と冗談交じりで話していたのが昨日のことのようですが、まさかまさかの10年目を終えました。


最初に声をかけてくださったMさん、
演奏に印刷物に音響にずっと相談に乗ってくださったzero兄さん、
BEAのNさん、333discsのY社長、
出演してくださったみなさま、


そして、


女将さんをはじめとする洋々閣のみなさま。


そしてそしてそして、


ご来場頂いた神様仏様お客様!




感謝の気持ちは尽きませぬが、
次なる10年に向けてお願いする気持ちのほうが遥かに上回っております。


今後ともよろしくお願いします。




ね、ゴローさん。




ゴローさんの愛でるギターを聴かずして、年は越せなくなりました。
これからもずっと、唐津が世界に誇る洋々閣で。




第11回洋々閣クリスマスコンサート
http://tetote.jp/?p=191




唐津はこのまんまde委員会!?
代表 いけださとし拝



いかがでしたか?唐津がちょっぴりうらやましくなったかたもあると思います。今年のゴロー祭りは12月25日です。間に合う方はお申し込みください。
毎年のコンサートの日に2時間だけオープンする私の今回の食堂名と限定メニュー名は、ほぼ計画済みですが、当日まで内緒ですよ。これでいろいろ悩むのもボケ防止だと、いけださとしクンが言うから(口では言わなくても心で)、毎年12月になるとはりきって悩むワタクシです。

 アメリカや韓国の政治やら日本の都政やら、いろいろのことがあった一年でした。うちでも病人が続き、「お祓いした方がいいんじゃないの?」とまで友人に言われた一年ですが、ゴローさんでハッピー。終わりよければすべてよし。
来年またお目にかからせてください。よいお年を。
 

 
 今月もこのページを訪れてくださってありがとうございました。またお会いしましょう。

                             洋々閣 女将    大河内はるみ

                               mail to: info@yoyokaku.com