ロマネコンテの葡萄畑

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#1 御挨拶

#91
平成19年
10月






フランス ワインの旅





 実りの秋! うちのぶどう園のぶどうもたわわに実って・・・と言いたいところですが、うちにはぶどう園なんてあるはずなし。残念。かわりに主人・大河内明彦(洋々閣社長73歳)が60年来の友人と4人連れ、合計292歳でフランスまでぶどう狩りに行ってきた土産話をお読みください。しゃくに障る方は写真だけでもお付き合いください。呑兵衛4人のほろよい紀行は、色々ハプニングがあって、珍道中だったようなのですが、ワインらしく格好よいところだけ書いています。では、行ってらっしゃい!




シャトー・ド・モンヴィラルジェンヌ
2007年8月22日(水)
 7:00am蒸し暑い唐津を発ってシャルル・ドゴール空港に着いたのが7:30pm(日本時間翌日午前2:30)。 外は小雨。肌寒さを感じる。ヨーロッパも異常気象でこの夏は雨が多く、寒さが早くやってくるのではと聞いていたのでその覚悟はして来た。パリの北に位置するシャンテイに宿を取る。空港から車で40分。Chateau de Monvillargenne に着く。チェックインするや眠くて荷も解かずベッドイン。

8月23日(木)
 
オーヴェルシュロワーズ
6:30am 朝食。食後テラスを出て庭園から建物を見る。19世紀にロットシールド家によって作られた城を1985年ホテルとして開業。120余の客室を持つ、フランスではシャトーホテルとして最大規模のホテルだ。シャンテイは競馬馬の調教で有名な所である。この日にスペクタクルといって特別にホースショーが催される。 午前中オーヴェルシュロワーズに行く。ヴァン・ゴッホが弟テオと並んで眠っている墓。ゴッホが描いた麦畑や教会を見てラボー亭に行く。ゴッホが息を引き取った屋根裏部屋を見学。今では立派に修復され歴史的建造物に指定された食堂で昼食をとlる。郷土料理のウサギのテリーヌ、子牛のクリーム煮、ワインはColes de Bourg 2004。シャンテイに戻り、シャンテイ城に入る。4:30pm 馬の博物館でのスペクタクルは家族連れで満席。夕食はモッロコ料理のクスクスとモロッコワイン。

ドム・ペリニヨン修道士の像
8月24日(金)
 8:00am チェックアウト。シャンテイより東に150km、ランスに到着。ノートルダム大聖堂、フジタ礼拝堂に寄る。エペルネに入る手前の村の食堂で昼食をとる。モエ・エ・シャンドン社に着く。玄関脇にドム・ペリニヨン修道士の銅像が立っている。2:30pm 日本語による案内を受ける。シャンパーニュはシャルドネ、ピノノワール、ピノムニエの三種類の葡萄にリキュールを混ぜるのだそうで、一本を仕上げるのに相当の手間暇が掛かることを教わる。2000年Grand Vintage白とロゼを試飲する。マルヌ川の橋を渡って丘の上の葡萄畑に行く。エペルネの町が眼下に見え、緑色の丘陵と真っ青に澄み切った空を見ながらこれから始まる葡萄畑探訪に胸がふくらむ。
 トロワを経由してブルゴーニュに入る。エペルネを出て200km以上南下してシャブリの葡萄畑に着く。 グランクルーのレ・クロの畑の前で車を止める。
 午後8時、オーセールに着く。ヨンヌ川に架かる橋や川辺の建物がライトアップされていて遊覧船やレジャーボートがぎっしり河岸に係留されている。Maxim Hotelにチェックイン。夕食はブルゴーニュ名物のシャロレー牛のステーキ。ワインはIrancy 赤。

8月25日(土)
聖マドレーヌバジリコ大聖堂
 霜が川辺一面にかかって私にとってはめずらしい光景だ。朝霜が立つとその日は快晴になるそうだ。町は骨董市でにぎわっていた。13〜16世紀に建てられたサンテエンヌ大聖堂では地下祭室の天井に描かれたフレスコ画を拝観。10:00am、シャブリの町に行く。古い建物がなく、なんだか魅力に欠ける。大きい新しい建物のカーブは土曜日で開いていなかった。ドメイン・カミュに入る。シャブリのグランクルーを試飲する。
 12時ベスレに着く。世界遺産である聖マドレーヌバジリコ大聖堂への坂道は観光客で一杯。裏道から聖堂に行く。テラスからブルゴーニュの葡萄畑が見渡せる
 2:00pm 12世紀に建てられたフォントネー修道院
フォントネー修道院
を訪ねる。同じく世界遺産である。このシトー派修道院は森の中にひっそりと建っていて、観光客も少なく清楚なたたずまいである。5年前に訪れたときと同じ気持ちになる。
 3:00pm 「フランスの美しい村」なる看板が入り口にかかっていフラヴィニ・シュロスランという村に着く。農家の皆さんで経営しているカフェでコーヒーとアップルパイをいただく。「美しい村」は1982年に始まった登録制度でフランス全土で141の村が認定を受けているとのこと。住民が200名以下であることも条件の一つとか。アニス入りボンボンの本家で映画ショコラのロケ地になった所だ。
 5:00pm セムール・アン・オゾワ のアルマンソン川の川辺で旧市街の写真を撮る。
 7:00pm シャトー・ヌフ・アン・オゾワに着く。Hostellerie de Chateauに泊まる。平野の中にこんもり盛り上がったこの山城からは太陽の出入りを地平線に見ることが出来る。食事前に夕日の沈むのを観る。オーナーのGayさんに再会。夕食はエスカルゴとソーセージのテリーヌを食す。ワインはCorton Charlemagne'99とEchezeaux99で乾杯。

8月26日(月)
クロ ド ヴージョ
 シャトウ・ヌフからボーヌ市内までは車で30分位。町の中心部のカフェで簡単に朝食を済ます。施療院、ワイン博物館、ワイン市場、を見学して午後からアロースコルトンに寄って世界最大のピノノワール種の葡萄畑が広がっているコート・ド・ニュイをドライブする。
 ニュイ・サン・ジョルジュ、エシュゾー、ヴォーヌロマネの畑を巡る。憧れのロマネコンテイの畑に興奮。三方を低い石の塀で囲まれたこの畑を見に多くの人が訪ねてくるのだろう。立ち入りは遠慮して欲しいとの掲示板が立っていた。同じ葡萄の種類でも土壌の違いが味と値段の差を生むことを思うと不思議でもある。
 コート・ド・ニュイを代表する建造物で利き酒騎士団のシンボルであるシャトー・ド・クロ・ド・ヴージョに寄る。シトー派修道僧達が使っていた14世紀の巨大な葡萄圧搾機や宴会場などを見る。クロ・ド ヴージョの囲いの内側にあるル・シャトー・ド・ラ・トールでClos Vougeot 2000を試飲する。 
 ジュヴレー・シャンベルタン村を通り、デジョンに出て、ブルゴーニュ大公宮殿の美術館を訪ねる。
 
ムルソー村
7:40pm ボーヌに戻り、Tulip Innにチェックイン。夕食はヴォルネーのアンリ・モンターニイ夫妻の家に招待される。夫妻は今年2月に洋々閣に来ていただいた。奥様のマリーポールがワイン造りを仕切っている。この日のために奥様は何日か前から名物のコック・オ・ヴァンを用意。旦那は天然のエスカルゴを獲りに行ったのだそうだ。食前酒 キール (白ワインにカシスを入れたもの)、白 Savigny2000 赤 Pommard2001、Volnay89。

8月27日(火)
葡萄の収穫
 午前、昨日のお礼を兼ねて夫妻のカーヴを訪ねる。Volnay89を特別に分けてもらう。ムルソー村、レザールで昼食をとる。
 ピリニイ・モンラッシュでは葡萄の収穫中だ。シャサーニュ・モンラッシュの畑を見る。これらは世界で最も高級な白ワインの産地だ。
ロシュポ城を見学。
 6:30pm シャニーのHotel de la Postにチェックイン。モンターニイ夫妻と一緒にラムロワーズで晩餐会とする。コースを取る。デザートが幾皿も続くのに驚く。食前酒Coup de Champagne 白 St. Aubin les Chamois 2002 赤 Vosne-Romanee les Bossieres 1996。宴の途中でジャック ラムロワーズ氏が挨拶に来る。




8月28日(水)
マルセーユの旧港を望む

 7:28am シャニー発の列車でリオン・パートデーへ。ロッカーにスーツケースを預ける。タクシーで旧市街へ行き、ケーブルカーでフルヴィエール丘に登りリオンの町を眺める。
 12:41pm リオンP.D.を発つ。2:24pm マルセーユ サンシャルル駅に着く。タクシーがなかなか捕まらず閉口する。旧港のNew Hotel of Marseilleにチェックイン。2年前に出来た超モダンホテルだ。ホテルの前の道を隔てたところにファロ公園がある。旧港、サンジャン要塞、地中海が一望できる。夕方ヨットが群れをなして遊びから帰ってくる様は壮観である。8年前に食べたミッシェルのブイヤベーズの味が忘れられず予約を入れたがとれず、ヨットハーバーを眺められる道路沿いのレストランで夕食を取る。

8月29日(木)
 
シテの城壁
列車でモンペリエに行き、街中を2、3時間徘徊し、昼過ぎの列車でカルカッソンヌに着く。
3:00pm Hotel Trois Couronnesにチェックイン。 早速中世の城塞都市ラ・シテへの坂道を歩く。世界遺産のシテの街中は観光客で溢れている。残り少ないヴァカンスを過ごしているのだろうか。夕食は下町で。シテの賑やかさに比べ、このレストランには我々以外に客はない。ラングドックで名物のカスレを食べる。ホテルの傍のオード川に架かる旧橋からライトアップされたシテの城壁は素晴らしく、長い間眺めていた。







8月30日(金)
シャトー・ラ・トール・ブランシェ

 9:11am カルカッソンヌを発つ。あいにくの路線工事で途中列車が大幅に遅れてボルドーに2:00pm近く到着。アヴィスでレンタカーを借りてソーテルヌに向う。フランス農村省が所有するシャトー・ラ・トール・ブランシェを見学する。セミヨン83%、ソーヴィニヨン11,9%、ミュスガデル5.1%で作る貴腐ワイン。醸造は全てフランス産樫材の新樽を使用するとか。プルミエクラス2002を試飲する。
 サンテミリオンに向う。途中道を迷ってペルグルーの町に入る。フォアグラで有名なところだと勘違いして喜ぶ。ペリグーの間違いであった。因みにこちらは鶴の寄行地として有名なところだそうだ。
 6:30pm サテミリオンに到着。Au Logis Des Rempartsにチェックイン。曲がりくねった狭い石畳の道になじんだ石灰岩で作られたこのホテルは内部の調度品や照明などモダンで、芝生の裏庭は広く、プールもある。泊まってきたホテルの中では私の一番気に入りのホテルとなった。 

8月31日(土)
 
シャトー・マルゴー

 9:00am サンテミリオン農協が経営しているメゾン・ド・ヴァン・ドウ・サンテミリオンヘ行く。店員の勧めでSt. Emilion Grand Cru Chateau Corvin 1999と2002を購入。日本への発送はやっていないというので、持帰ることにする。
 10:00am メドックにむけ出発。 8月中はマルゴーを始め、大手のシャトーは一般公開されていなくて、やっとCh. ムートン・ロットシールド社の見学が2:30pmに予約できた。その時間まで他のシャトーの建物だけでも見ようと、ロートレックの一族が住んでいたというシャトー・シランから見学する。次に東へ3,5キロ行ったシャトー・マルゴーに行く。マルゴーの町を素通りしてシャトー・モカイユへ。ブルゴーニュに比べメドックの畑は平野がずっと続いているように感じる。ジロンド河口を
 シャトー・ラフィット・ロットシールド
一望できるフォール・メドックの土手で小休止。 次に18世紀の美しい建物といわれるシャトー・ベイシュヴェルへ。シャトー・ラトールは塔だけをはるか葡萄畑の先に見る。 シャトー・ラフィット・ロットシールド、シャトー・コスデストルネの建物を見てポイヤックの町に戻る。道沿いにレストランカフェが建っている。とあるレストランで昼食を取る。
 2:30pm シャトー・ムートン・ロットシールドに行く。まずこの社の歴史をビデオで見る
シャトー・ムートン・ロットシールド
。次にビジター用に色んな種類の葡萄が一目で分る畑で葡萄の説明と葡萄を木々からもぎって試食する。セラー、城館の客間、美術館を見た後、Mouton-Rothchildを試飲する。 シャトー・ムートンでは1924年から年毎に世界的芸術家にラベルの絵を描かせている。1991年は三岸節子氏が描いている。
 8:00pm ボルドー サンジャン駅付近のIbis Hotelにチェックイン。トラムで市の中心部に行き夕食を取る。





9月1日(日)
 昼間のボルドー市中心部を散策。午後のTGVでパリに行きCastille Hotelにチェックイン。ここのバーは手ごろな値段のワインを用意して気楽に楽しめる。


9月2日(月)
 帰国する3人と別れて一人ユーロスターでロンドンへ向う。9月7日に無事帰宅して、ワインの旅は終わった。シャンパーニュ、ブルゴーニュ、ボルドーと葡萄畑を巡り方々で試飲したにも拘わらずまだワインの真髄が判らない。ブルゴーニュは、主に赤はピノノワール、白はシャルドネと、かたくなにその製造法を守ってなんとなく手工業的なのに対し、ボルドーは近代的施設で数種の葡萄をとり交ぜて造る、一口にワインといってもかなり違ったものなのだと実感した。これからコルクを開ける時、1本1本生産地での思い出がよみがえってくるであろう。


                                
おわりに、この旅をコーデイネートしていただいたボーヌの山田明氏に感謝しつつ
ブルゴーニュ式に乾杯!






 いかがでしたか?シャクにさわりませんでしたか?私なんかは留守番させられた恨みで、シャクに障るのさわらないのって!何がロマネコンテよッ! ハッ! って感じです。
貴腐ワインを1本みやげにもらったので、名月をみながら自棄酒でもやりましょか。皆さんもご一緒に、カンパイ!

また来月。

今月もこのページにお越しくださって
ありがとうございました。
また来月もお待ちしています。


洋々閣 女将
   大河内はるみ


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