楢崎幸晴


<山崎先生の紹介>

山崎猛夫(やまさきたけお)先生は北波多村出身の優れた郷土史家であります。この北部九州松浦の地に暮らした、人々の生き方を総合的にすいあげ、数々の著書で公にされております。先生は愛酒家であると同時に人一倍の努力家でもあります。教職より校長をなされ、村の教育委員長、村文化財保護審議委員会委員長、村社会教育委員長、県文化財保護指導委員長、など数々の要職と、また郷土史研究の松浦史談会会長(八百会員)も歴任されました。


北波多村ならびに浜玉町の郷土史研究会の講師としても、20年以上のキャリアがあります。その時節に応じ、たとえばNHKの北条時宗、毛利元就、足利尊氏などの放送の折は松浦とのかかわりを判り易く、ご講演頂きました。また、年2〜3回の歴史探訪の旅行に至っては、訪問地の歴史説明書を自筆と昔ながらのガリ版ずりでお作り頂き各地を案内、解説頂きました。ほんとうに歴史が好きで郷土振興と教育発展のため、誠心誠意の努力家です。

先生の言葉に、「私たちは過去、現在、未来、を結ぶ存在です。昔よく言われた"中今(なかいま)"の人物です。私たちが歴史を伝えずして誰が伝えましょうか、地方の歴史を伝えるのは私たちです。
今、私たちが記録し活字にしておかねば、永久に忘れ去られ、消滅してしまいます。
記述の評価は後世の人がしてくれます。活字にして置かねば、史実はやがて伝説化してしまいます。"記録は歴史"と申されています。真にその通りと考えます。」

昭和38年に発行された『北波多村史』は先生の執筆であり、その後執筆された、町村史のモデルとなった名著です。
教職という多忙な身でありながら、たゆまぬ研究と努力を続けられ、『厳木町史』、『七山村史』、『肥前町史』、をも執筆されております。また北波多村百年記念事業として、百年史年表をも発行されました。


            更にはライフワークとされた『岸岳城盛衰記』は多くの人に高く評価されています。


平成8年4月9日には勲五等雙光旭日章の叙勲の栄誉に輝かれました。これもひとえに先生のたゆまぬ努力の結晶といえましょう。

先生には平成十二年秋より体調を崩され"少し体調がよくないので自重している"とのことでしたが、平成十三年三月、八十路を前に他界されました。誠に残念でなりません。先生はまさしく、私どもの誇りうる村の宝というべきお人でした。


大慈大悲の仏の許、ご冥福を祈る次第です。           平成十三年九月


著書『岸岳城盛衰記』より先生の思いをご紹介します

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